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  • 執筆者の写真和上京鈴

「創る義務感」に悩んでいるクリエイター、自分の可能性を信じきれない大人たちに観てほしい映画『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』感想(ネタバレ有り)

がっつりネタバレしてますのでご注意ください。


いい年したライターが一人でこの映画を観に行った結果、


最後のほうずっと泣いてました。




ストーリー、設定は映画公式サイトをご覧ください。


◆個人的印象に残った点◆

・BGMがとにかく凄い

・シリアスしんちゃんに何度も泣かされる

・ニセななこーーーー!!!!好きよーーーーー!!!!

・ぶりぶりざえもん、お前ってやつは……さすがキャッシュレス化(涙)

・ブリーフ、ありがとう

・大人と子どもの描かれ方

・帰ってきた○○○○サンバ

・たまにミュージカル(曲が良き)


今作はまず、始まり方からしてなんとなくいつものクレしん映画と違います。

そして王国でのごたごた(王が囚われ、姫がミラクルクレヨンを宮廷画家に託す)、ここのBGMがとても壮大で「えっこれクレしんの映画だよね??」とドキドキ。

言わせてください、今回マジでBGMがすごいです。

そしてしんちゃんがミラクルクレヨンで生み出したぶりぶりざえもん、ブリーフ、ニセななこと共に、春日部を救うために奮闘します。

「ミラクルクレヨンで描かれた存在は、雨に濡れると消えてしまう」

この設定が、今作においてとても重要となります。

そして、私の目から溢れ出た涙の元凶です。くそう。



私がとにかく今作で大好きなキャラクター、それがニセななこです。

ななこおねいさんと同じく、伊藤静さんが演じていらっしゃいます。


しんちゃんがななこおねいさんをイメージして描いたものから生まれたニセななこ。

彼女が今作のヒロイン的存在なのですが……見た目は多少不格好なものの、しんちゃんたちを守ってくれる、とても頼れる存在です。

ありとあらゆる場面で優しさを見せ、助けてくれるところから、観ていてこちらも彼女のことがとても好きになりました。


だからこそ後半、とても辛いんです。


敵に捕まりかけたしんちゃんを助けるために、ニセななこは雨の中、外に駆け出します。

しんちゃんは何とか助かりますが、それと引き替えにニセななこは雨に濡れて消えてしまいます……。


ニセななこは作中「しんちゃん、好きよ」としか言いません。しんちゃんを追いかけるときも、一緒にカレーを食べているときも――そして消えるときも。

溶けて消えてしまったニセななこのいた場所を見つめるしんちゃんの斜め後ろからのカット。

しんちゃんの表情がはっきり描かれないのが、また涙を誘います。

ああもう書きながらまた涙出てきた……。


その後(前後関係きっちり覚えてないですすみません)、クレヨンを使い切ってしまったしんちゃん。

そんなしんちゃんやユウマを、町の大人たちは責め立てます。


自分たちはしんちゃんに助けてもらったにもかかわらず、自分勝手な感情で子どもに原因を押し付ける……見ていて怒りが込み上げてくるしとても辛いのですが、このシーンを見て「大人」と「子ども」について考えさせられました。


大人たちはいくら姫やユウマたちに「ラクガキをすれば助かる」と言われても、自分たちでやろうとしません。

遠くへ逃げたほうが安全、今からじゃとても間に合わない、という気持ちがあるからなのですが、彼らは「可能性を自ら閉ざしてしまっている」ように思えました。


これはフィクションですし、実際に私も同じ状況だったらきっと逃げるでしょう。

しかし、だからこそ、「ラクガキ」という子どもの遊びに思える行為で王国と春日部を救うということが、なんとも皮肉的に感じられるのです。


自由に空想し、描き、生み出すことの喜びを、私たち大人だって昔は夢中になってやっていたのです。

私は職業クリエイターになってまだ一年ちょっとですが、書くことをどこか義務感のように思ってしまうことが多々ありました。

仕事で好きなことをさせていただいているはずなのに、それが苦しいときがあるのです。

だからこの映画を観て、少し救われました。

創ることは本来、楽しいものなのです。

初心って大事なんですね……(小並感)


さて、キャラと本編の話に戻ります。


ぶりぶりざえもんは相変わらず何もせず偉そうだったり裏切ったりしますが、あるシーンからめちゃめちゃかっこいいです。株価急上昇でS高レベルです。


ぶりぶりざえもんが水たまりに溶けてしんちゃんとお別れするシーン。

ここね、柔らかい色味で描かれているんですけど、それがまたずるいんですよ。こんなの泣きますよ。

しんちゃんが最後にぶりぶりざえもんに投げかけた台詞でもう、うっ……(泣)

そして最後に大人や他の子どもたち、ラクガキングダムの人たちも交えて、しんちゃんがラインマーカー(校庭で白線引くやつ)で大きな絵を完成させようとします。

しかし最後の最後に石灰がなくなってしまいます。

するとそこでブリーフが、「自分を伸ばして絵の一部にしてほしい」としんちゃんに頼みます。

けれどしんちゃんは頑なにやろうとしません。

理由を訊かれて答えたしんちゃんの台詞、はいここでまた泣きました。

BGMアウトさせんのずりぃよおお泣くわこんなん。


最終的にブリーフの思いを受け取ったしんちゃんは、彼を伸ばして絵を完成させます。

そして【奴】が現れ……問題解決。

ラクガキングダムの人々は国へ帰っていきましたとさ。


もともと涙腺は緩いほうなのですが、何度感情を揺さぶられたかわかりません。

クレしんの映画は「家族もの」か「かすかべ防衛隊による友情もの」が多いように思えましたが、まさか「しんちゃんと、しんちゃんが創作したキャラクターたち」という組み合わせで心がじんわりする物語が観られるとは。

この映画は、数あるしんちゃんの映画の中でも特に好きな作品になりました。

「オトナ帝国」や「ロボとーちゃん」とはまた違った、特別な感動があります。


大人も本当に楽しめる映画ですので、ぜひ。



それではまた。

和上



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